2月10日は「簿記の日」です。「簿記の日」に関係するトピックスを紹介します。朝礼やその日のネタにでもなれば幸いです。
簿記の日
2004年(平成14年)に、全国経理学校協会(現在の公益社団法人・全国経理教育協会)が制定しました。
2月10日である理由は、1873年(明治6年)2月10日に、アメリカから持ち帰った本を福澤諭吉が翻訳した、日本で最初の簿記の本である『帳合之法(ちょうあいのほう)』が慶応義塾出版局から発行されたことに由来します。
簿記の大切さをより多くの人に知ってもらおうという目的で制定されました。
簿記とは
簿記とは日々の企業のお金の出入りや取引を記録(帳簿に記入)し、一定の期間(通常は1年)ごとに決算(利益や損失を確定させる)を行い、報告書にまとめる作業のことです。更に簡単に言うと、「財産や売買に関する記録をつけること」を指します。
多くの会社は、簿記をすることによって、 どのくらい財産があるのか、いくら使っていくら儲けたのかを正しく把握しています。
会社は毎日簿記をすることによって、1年に一度、 貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)と損益計算書(そんえきけいさんしょ)を作成します。これが、簿記の最終目的です。
貸借対照表
貸借対照表とは、決算日時点の財政状態を表す書類です。
一般的には、上図の通り、左側に資産の運用形態を示す「資産」が表示され、右側に資本の調達源泉である「負債」と「純資産」が表示されます。
資産
資産は、「現金そのもの」か「売ればお金になるもの」です。「売ればお金になるもの」とは、商品や建物、土地などです。将来的に入ってくるもの(受取手形、貸付金など)も、資産になります。 これらの資産を手に入れるためには、「元手」がかかっているはずです。そこで、その元手となる資金をどのように調達したのかを表しているのが以下で説明する「負債」と「純資産」です。
負債
負債は、よそから借りているお金、つまり借金です。会社がまだ支払っていない商品代金や借入金などのことをいいます。買掛金も広い意味でとらえれば借金です。約束の日がきたらお金を支払わなければならないわけですから、借金と同じということができます。
純資産
純資産は、会社自体のお金です。株主が出資した資本金や利益剰余金など、会社のこれまでの利益のうち会社に残っている分などです。株主が会社に出したお金のことを、資本金や資本剰余金、会社が稼ぎ出した利益のうち会社に残っている分を「利益剰余金」といいます。
損益計算書
損益計算書は、企業の経営成績を明らかにする表です。
1年間でどのくらい儲かったのか、または損したのかといった経営成績を表すために作成されます。英語で「Profit and Loss statement」と呼ばれることから、「P/L(ピーエル)」と略されます。
損益計算書は利益を5つの段階的に表示することで、どのようにして利益が出たのか何にどれくらいのコストが発生したのかを把握することができるような仕組みになっています。
上から順に「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」と並んでいます。
売上総利益
売上総利益は年度中の企業の儲けを表すもので、ビジネスの現場では「粗利・粗利益」と呼ばれています。損益計算書に記載されている利益の中で最も上に記載されています。
売上総利益は、売上高※から売上原価※を差し引いて算出するものです。
※売上高:企業の本業で得られた収入のことで、主に製品や商品などの有形物の販売と、サービスや手数料など無形物による収益であり、これらの代金の総額を示します。
※売上原価:売れた商品や製品の仕入れや原材料にかかった費用
営業利益
営業利益とは、本業における営業によって稼ぎ出した利益のことです。
営業利益は、売上総利益から販管費※を差し引いて算出するものです。
※販管費:商品や製品を販売するために直接かかる費用(販売費)と会社全般の業務の管理活動にかかる費用(一般管理費)の合計額のことを指します。販売管理費とも呼びます。販売費には、販売手数料、広告宣伝費などが該当し、一般管理費には、間接部門の人件費、減価償却費、租税公課、交際費、旅費交通費などが該当します。
経常利益
経常利益は本業以外の収益・費用をまとめたものです。
営業利益に営業外収益※を加えて、営業外費用※を差し引いて算出するものです。
※営業外収益:営業活動以外によって得られる、財務活動による収益のことです。受取利息や不動産賃貸料収入があげられます。
※営業外費用:本業以外で経常的に発生する費用のことを指します。基本的には、財務的な活動から生じる費用のこと。支払利息、株式の売却損などを指します。
税引前当期純利益
税引前当期純利益は、法人税など、その期に納めるべき税金を支払う前の利益額です。
経常利益に特別利益を加えて、特別損失を差し引いて算出します。
※特別利益:事業を運営する上で継続的に発生する利益ではなく、本業とは無関係に一時期だけ臨時的に発生した利益のことです。
※特別損失:企業の事業とは無関係のところで、臨時的に発生した損失のことです。不動産の「固定資産売却損」や長期保有している株式の「売却損」、火災や盗難、災害による「損失」などです。
当期純利益
当期純利益は決算期における最終的な利益のことを指します。純利益とも呼ばれます。当期利益が純粋な企業の利益にあたるため、この数字がマイナスであれば赤字だということになります。
当期純利益は税引前当期利益から法人税等(「法人税」「法人住民税」「法人事業税」)を差し引いて算出します。