1月16日は「囲炉裏の日」です。「囲炉裏の日」に関係するトピックスを紹介します。朝礼やその日のネタにでもなれば幸いです。
囲炉裏の日
「囲炉裏の日」は、囲炉裏を囲んで暖かい会話を楽しもうと囲炉裏の愛好家らが制定しました。
1月16日である理由は、「い(1)い(1)ろ(6)」(いい炉)と読む語呂合わせからです。
囲炉裏について
囲炉裏とは
伝統的な日本家屋などで、室内の床面を四角く切って設けられた炉のことをいいます。正方形あるいは長方形に床面を掘り下げ、その中に灰を敷き詰めて、炭や薪を燃やして使用します。
暖炉や炊事が主な目的ですが、家族が集まりコミュニケーションの場所として古くから機能していました。また、薪を燃やして発生する煙に含まれるタールが、室内の梁(はり)や茅葺屋根(かわぶきやね)などに付着することで、防虫性や防水性を高めるといわれています。
囲炉裏の基本構造
囲炉裏の基本的な構造は、床を四角に切って開き、そこに炉縁(ろえん=木製の枠組み)を作って灰で敷き詰めます。そこに、薪や木炭といった燃料を入れて、火を起こします。天井には、木を格子状に組んだ火棚(ひだな)を吊るしました。これは、万が一火の粉が高く舞い上がったとしても、火が天井に燃え移るのを防ぐためです。さらに、火棚の真上に当たる天井板は少し隙間を空けて張られている場合が多く、こうすることで熱が家全体に広がり、煙は天井裏を抜けて排出されるようになっていました。同時に、薪を焚くとすすも天井裏まで広がります。家中がすすだらけになるという欠点もありますが、その一方ですすは天然の防虫剤の役割を果たしていました。
囲炉裏の歴史
囲炉裏の歴史は、縄文時代にまで遡ります。この時代の竪穴住居跡からは、囲炉裏の原型と言われる炉が発見されています。地面を掘り下げた半地下式の住居の中央には、暖をとるための炉を配置され、屋根に開けた穴から煙を排出しました。この炉は、床面に石で囲いを作り、そこに薪をくべるという、原始的なものでした。
その後、室町時代から江戸時代になると、都心部を中心に囲炉裏は使われなくなっていきましたが、農村部では最近まで囲炉裏が使われていました。
そして囲炉裏は、釜戸(かまど)の発展とともに西日本を中心に、使用が減っていきます。しかし、東日本では江戸時代以降も囲炉裏が多く使われる傾向にあったようです。これは、東日本は西日本よりも夜が長く、寒いため、調理専用のカマドではなく囲炉裏が長く使われたと考えられています。
囲炉裏の役割・機能
囲炉裏は暖をとったり、調理をする為のものであることは知られていますが、他にも様々な役割を担います。
暖房
部屋の中心部から屋内を暖める暖房器具の代わりになりました。
調理
・魚などの食材を串刺しにして火の周囲で焼く
・自在鉤(じざいかぎ)と呼ばれる天井からつるした棒の先に、鍋などを引っ掛け、お湯を沸かしたり煮炊きをする
・灰の中に食材を埋めて焼く
・酒を詰めた徳利を灰に埋めて燗付けする
照明
電気のない時代においては、火は貴重な灯りでした。夜になると囲炉裏の灯りが照明の代わりとなりました。
乾燥
天井から木を格子状に組んだ「火棚」(ひだな)を吊り、囲炉裏の熱を利用して、濡れた衣類や食料、燃やす為の薪などを乾燥させました。
火種
着火が容易でない時代においては、囲炉裏の火は絶やされることなく、竈(かまど)や照明具の火種として使われました。
コミュニケーションの場
囲炉裏には家族や人が自然と集まる場としての機能がありました。食事中や、夜間は人が自然に囲炉裏の周りに集まり、会話が生まれました。
家屋の耐久性向上
部屋中に暖かい空気を充満させることによって、木材中の含水率を下げ、腐食を食い止める効果がありました。また薪を燃やせば、煙に含まれるタール(木タール)が、梁や茅葺屋根、藁屋根の建材に浸透し、防虫性や防水性を高めることができました。