年末に縁起をかついで食される「年越しそば」ですが、この文化は一体、いつから始まったのでしょうか。また、なんとなく縁起が良さそうだから年末にそばを食べる方も多いと思います。ここでは、「年越しそば」の由来や歴史、食べ方についてご紹介します。
【目次】
歴史と由来
歴史
「年越しそば」は、いつから始まったのでしょうか。日本における‘そば’の起源は、大陸伝来のものとされ、植物のソバの原産地は、DNA分析などから、中国雲南省からヒマラヤあたりにかけてという説が有力になっているそうです。日本でソバの栽培が始まった時期は縄文時代にまで遡ります。ここから日本の‘そば’の歴史が始まりますが、「年越しそば」が始まったとされるのは江戸時代だそうです。江戸時代中期には商人の間において、月末にソバを食べる三十日蕎麦(みそかそば)という習慣がありました。月末に仕事の忙しい江戸商人が、出前をとってすぐに食べられるそばを月末の三十日である晦日に食べて、労をねぎらうことから始まった習慣です。これが転じて大晦日だけに行われる年越し蕎麦になったと考えられています。 当時の江戸では“江戸患い”と称された足の疾患である脚気(かっけ)が流行していて、「そばを食べている人は脚気にならない」という噂が江戸での三十日蕎麦の流行を後押ししたそうです。
由来
「年越しそば」の由来は様々な謂れ(いわれ)があるようですが、代表的な5つを紹介します。
①延命・長寿を願うもの
ソバは長く伸ばして細く切って作る食べ物なので、“細く長く”ということから「健康長寿」などの縁起をかついで食べるようになったとする説。
②旧年の苦労や借金などを切り捨てるもの
ソバは切れやすいことから、旧年の労苦や災厄、それから借金を切り捨てて新しい年を迎えることを願ったとする説。「縁切りそば」「年切りそば」「借銭切り」「勘定そば」とも呼ばれています。
③金運上昇を願うもの
金銀細工職人は、作業中に飛散した金粉をソバ粉の団子を使って集めていたといわれています。「金を集める縁起物」「金運を呼ぶ」という意味合いが生まれ、新年の金運向上のために食される様になったという説。
④「世直しそば」に由来するもの
鎌倉時代に、博多の承天寺において、年の瀬を越せない町人に「世直しそば」と称して、そば餅をふるまったところ、翌年から皆に運気が向いてきたため、そこから、大晦日に「運そば」を食べる習慣が生まれました。「運気そば」「福そば」とも呼ばれています。
⑤健康の縁起をかつぐもの
ソバは少々の風雨に当たっても、翌日、陽がさせばすぐ起き直る植物であることにあやかって、健康を願ったとする説。
まとめ
「年越しそば」は諸説があるにしても縁起が良いものであることには違いがなさそうですね。大晦日には家族や親しい人達で食卓を囲み、温かい「年越しそば」を食べながら、その年に起こった出来事に思いを馳せながら、新しい年を迎えられる時間を大切にしたいですね。